今、中学3年生には、これまでとは少し違う形で勉強を進めてもらっています。
これまでは「何ページから何ページまでやりなさい」とページで宿題の指定をしていましたが、最近は「この単元がテストです」とだけ伝えるようにしています。
これには理由があります。
もちろん、宿題としてページを指定すれば、多くの生徒はやってきます(一部うっかりやってこない子もいますが…笑)。しかし、時間が経つにつれ「とりあえず指定された分だけやればいい」という意識になりがちです。これは望む形ではありません。
最初の一歩として「まずやる」ことは大切です。
しかし、本当の受験生になっていくためには、勉強の中心にあるべきものは「理解すること」に変わっていかなければなりません。
そこでページ数の指定をやめ、テスト内容だけを伝える形に切り替えました。
1回やって理解出来るならそれで十分。しかし、3回やらないと身につかないと思うなら、3回繰り返して下さいと伝えています。本当に理解できているかどうかは、確認テストで満点を取れるかがひとつの目安です。
「やること」だけが目的にならないようにするための小さな意識改革です。
とはいえ、春休み以降、確認テストで思うように点が取れない子が増えてきました。中には1/3も得点できない子もいます。こういう場面を見ると、この指導が本当に間違っていないのか不安になることがあります。特にこの状況が続くとなおさらです。しかし、それは今の自分の勉強が受験レベルに足りていないと自覚する大切な機会です。
この気づきは、私が与えることはできません。本人が感じ、受け止め、自分事として行動する他、今の状況を変える方法はありません。
受験、そしてその先を見据えたときに、自分で考えて自分の力で取り組むことができるようになってほしい。その想いから、あえて少しずつ手放しを進めています。
もちろん、これができるようになるまでにかかる時間は人それぞれです。しかしこの1学期は、それを練習する絶好のタイミングでもあります。入試が差し迫った秋や冬に「もう自分たちで頑張ってね」と急に手放しはできません。だからこそ今、「自分事として捉える勉強」に変えて行く必要があると感じています。
「こけるなら今のうち」
補助輪付きの自転車から、コマなし自転車へと変わるとき、最初は誰だってフラフラしますし、転ぶこともあります。しかし、その練習を避けていては、いつまでも前には進めないのと同様です。
意識がなかなか変わらず、見ていて歯がゆく感じる子も正直います。
しかし、その子のペースを見ながらサポートの仕方を工夫し、少しずつ「勉強を自分のものとして捉える意識」を育てていきたいと思います。
いつか、自転車を自分の力でしっかりとこげるようになったとき、「あのとき、ちょっと大変だったけど、やってよかったな」と思ってもらえるように、今日も静かに見守り、支えたいと思います。



