先々週で一通りの英文法学習が終了したため、先週からは英文法の2周目に入っています。2周目では、長文読解を通じて英文法に再び触れていくスタイルを取っています。長文の中では、様々な文法事項が交互に登場するため、その都度立ち止まって文法を再確認するという流れで進めています。
1周目と2周目では指導方針が異なります。
1周目は、いわゆる学校の教科書に載っている基本形を押さえる指導を中心に行いました。 たとえば現在形については、「三単現のs」、「助動詞の直後には動詞の原形を置く」という基本ルールを徹底するための授業です。
一方、2周目はさらに一段階深い理解を促す指導に入ります。
たとえば、現在形は、「現在」という時間だけでなく、「客観的事実を伝えるためにも用いられる」と教えます。これを踏まえると、If it rains tomorrow. という文を見ても、「あれ?tomorrowと未来の事が書かれているのになんでrainsとなってるの?」という素朴な疑問にも対処できるようになります。
この辺りは、「時・条件を表す副詞節では未来のことでも現在形を使う」と習うので、特殊で例外的に思われがちですが、話者が「明日、雨が降るという『事実』を仮に想定している」と捉えることで、現在形であるrainsが使われる理由が理解できます。
先週の金曜日は『助動詞』の授業を行いました。
現在形との対比を通じて、「助動詞は客観的事実ではなく、話者の『主観的な考え』を伝えるために使用される」と教えます。
「現在形vs助動詞」は「客観的事実 vs話者の主観的考え」という対比を意識させます。
この考え方を用いれば、英語に「未来形」が存在しない理由がスッキリ見えてくるはずです。
過去形や、現在形は既に事実として確定していますが、未来は確定しておらずあくまでも未来は話者の心の中だけに存在します。そこに客観性はありません。あくまでも主観です。主観を示す時に動詞の前にwillやcanやmustやmayなどの助動詞を置くわけです。
こう理解すると助動詞を使った文には自然と「未来的なニュアンス」を帯びることが多くなります。
たとえば、We can be back by noon.(昼までに戻れるだろう)という文にも、自然と未来的な意味合いがにじみ出ます。
では助動詞の過去形について考えてみましょう。過去形・現在形というと時間軸で捉えてしまいますが、実際は「離れている」というのが正しい理解です。そうすると何も時間軸だけに限らず「心理的にも離れている」状態を過去形で示すことができます。
Could you tell me the way to the station?なども時間的な過去の意味で使用されているのはありません。初対面の間で心理的な距離が遠い相手に話しかけるからcouldという過去の形をさせて使います。あくまでも心の距離の話しで、時間的ではありません。
そのため、心理的に距離が離れている相手に使うCould you…?はCan you…?にくらべてより丁寧な表現として用いられます。初対面の相手にはより丁寧に振舞うためです。
この理解を踏まえれば、仮定法も自然に受け入れられます。
よく「仮定法では時制を一つ前に戻す」と説明されますが、実際には、「実現が難しいと話者が考えているので、実現可能性が低く、そのため助動詞の過去の形を使う」と捉えます。
例えば、He would not say such a thing.(彼ならそんなこと言わないだろう。)という文。
この文にはif節(条件節)はありませんが、助動詞would(willの過去形)を用いることで、話者の主観的な仮定(実現の可能性が薄い)が表現されています。
つまり、仮定法の本質はifの有無にかかわらず、「実現の可能性が低いことを過去形で表す」という点にあるのです。
このように、1周目が「型」から入ったのに対して、2周目はその「意味、理屈」で補強する授業を長文読解を通して行います。
淡々と進む1周目に対して、2周目は「現在形→助動詞→仮定法とそんな風にして実は繋がっていたのか!」と理屈の線が見えるのでより一層英語が楽しめるのではないでしょうか。
ということをお伝えするためにも、こちらも裏では日々勉強、勉強です。笑





