スポットで輝き始めた子ども


この前な



自分の子どもの運動会行ってんな。




コロナの影響もあって、



一学年だけでやるねん。


分散開催な。



ちょっと寂しいやろ。笑





他の学年が授業してるから、



音楽はほぼ流れない状況での



徒競走とかリレーな。


会の前に、



校長先生が「応援は控えて下さい」って



言ってたからな。




想像してみ、



広い運動場で、



「さっ、さっ、さっ」って



砂をける音だけが聞こえんねん。




やっぱり盛り上がりに欠けるやろ。笑





応援団とか、綱引きとかな。


あったら良かったのになぁって思った。





先生の考える、



運動会の意味って話していい?




「スポット当てたること」やと思うねん。





昔な塾になモリケンっていう子がおってん。


随分前やから、あだ名で呼ぶわ。



君ら、誰かわからんやろうし。




この子な、




ホンマに人と話すのが苦手で、



人前になると全くしゃべれんくなるねん。



公立も落ちてしまって。。。




その学校、面接あってな。



得点開示で点数分かるんやけど、




もう、面接の点数が「面接に行った?」


っていうくらいの点数やってん。




落ちた原因もそれや。





実は、



その子、


体がむちゃくちゃでかくてな、



ハルクみたいな子やねん。




もちろん、



色は緑ちゃうで。




二人三脚とか、ベベやったわ。




だけどな、



それが起こったのは



綱引きの時やったわ。





もちろん最後尾や。




その子がおるチームがどんどん勝ちよるねん。



もうな、


応援している人たちも分かるくらいに


ぐいぐい引くねん。




最初は驚いてた観衆もな、


しだいにそのすごさに惹かれてな




「モッ、リッ、ケン!」



「モッ、リッ、ケン!」って


声援がで初めて、




運動場がモリケン一色や。





ちなみにな、



モリケンのチームは



残念ながら緑じゃなくて、



赤色な。





その日、運動会が終わってな、



塾に来てもな




みんなが、「モリケン、最高やわ」って



その熱が冷めん感じでな。




その日から、




みんなの中で「力持ちモリケン」の誕生や。





無口で力持ち。




きっと、


ちょっと自信ついたんやろうな。



中学校は帰宅部。



勉強も大嫌い。






だけど、




卒業後に




「先生、高校では柔道部に入りました。」


って言いに来てくれてん。





高校の先生に、言われたんやて。




「君の体格と力なら、全国狙える」って。





きっと、




モリケンは綱引きでスポットが当たったんやろうな。




走っても遅い、



勉強も苦手、



話すのも無理。





だけど、



人生のどこでスポットが当たるか分からんな。





だから、



「スポットを当てたる場をつくること」



が大切やと思うねん。




そういう意味では、



今の運動会



少しスポットが当たりづらくて



もったいないな。






もう少ししたら、



世間の空気感、変わってくると思うけど。


そこに期待やな。






そうそう、



最後にこれ言うの忘れてたわ。








モリケンな、












「消防士」になるんやって。