多少の差はありますが、全学年ともB組では以下のことを話ました。
中1Bクラスを例にあげて書いてみたいと思います。
テーマは「勉強に対する心構え」です。授業をつぶして1時間話した内容ですので少し長めです。
袋に入る水量を「学力」だとしましょう。
学力の育て方には3つの方法があります。
1️⃣ 水を注いで水量を増やす。
これは言うまでもなく授業ですね。知識量が水量と読み替えて下さい。
2️⃣ 袋に開いた穴を塞ぐ。
昨日話したのはこの部分です。当然のことながら1️⃣で水を注いでも袋に穴が空いていると学力は増えません。今から水を足していく前に、穴を塞ぐ作業をしましょう。そんな話からのスタートでした。
3️⃣袋自体を大きくする
ここは昨日話しませんでした。
昨日話したことを列挙します。
(1)メモ帳を持つこと
(2)筆箱の中身を整理すること
(3)言われたらすぐに行動すること
(4)塾に来る目的を明確にすること
(5)志望校を1つ決めること
(6)先の予定を見て今何をするかを考えること
まず(1)から話がスタートしました。
(1)メモ帳を持つこと
今から大事な話をするのでメモ帳を出してくださいと話しました。
すると18名の生徒のうち、メモ帳が出てきたのは8名のみ。
ある子はルーズリーフを出しました。
ある子はノートの最初のページの表紙裏(硬いページ)にメモし始めました。
ある子は左腕にネームペンで書き始めました。
メモ帳を持たないことの問題点はいくつかありますが、そのうちの一つに大事な情報が一元化されていない点ではないでしょうか。また、そうしておかないとエラーが発生すると考えていない点です。腕に書く子は確かに目には入りますが、それは目に入るだけの「ほくろ」と同じです。普段の生活で「ほくろ」の事を考えて行動している人は一人もいません。
現在高1のH君は疑問点を「メモ帳(スマホメモ)に書き出し、質問がこれだけありますがいつ時間が空いてますか」と聞きに来ていました。また、段取りの相談をしに来る際も塾の黄色と緑のスケジュールを広げながら、この週にやる内容の課題が欲しいですと言いに来ていました。出来る子は情報を集約し、スケジュールと常に突き合わせながら勉強を進めていることが良くわかりました。
さて、昨日は単語テストと過去進行形のテストの日でした。
テスト結果とメモ帳持参人数のデータが取れましたので、それらの相関関係を見たいと思います。
昨日の対面授業参加者は全部で18名。
8名が合格。うち7名はメモ帳持参。うち1名は持参しておらず。
残り10名は不合格。うち2名がメモ帳持参。うち8名は持参しておらず。
表にまとめます。
合格 | 不合格 | |
メモ帳持参 | 約90% | 約10% |
メモ帳持参せず | 20% | 80% |
メモ帳を持参する生徒の多くが合格している一方で、メモ帳を持ってきていない生徒の多くが不合格です。これは因果関係を示すものではありません。
しかし、普段の指導と併せて考えると、人が言ったことをメモせずに受け流してしまう子は、多くは話が聞けない子です。お家でもこの様子は散見されるので、十分に気付かれている保護者も多いことでしょう。こういう子は成績が上がりません。重要なアドバイスがするりと抜け落ちる習慣が出来ているのでかなり意識させないといけません。そういう意味では筆箱の中に入るサイズのメモ帳を準備させ、学校でも塾でも言われた瞬間にメモを取らせる癖をつける必要があります。また、大事なことを話しているのにメモを取らずに話を聞いている場合は、見つけて指摘しなければなりません。
その場で他の用紙にメモをしたとしても、結局は「ほくろ」を書いただけ。見る習慣がないので、やはり大切な情報が流れて行きます。
これは授業を受けている間だけのことではありません。大学生になり、アルバイトをするようになっても同様です。メモを取る癖が無いアルバイトは学力も低く、行動力に欠ける場面が目立ちます。既に指導されていることを平気で何度も質問します。そして、成長に対して鈍感なので周囲の足を引っ張ることに無頓着です。
これはメモを取る習慣が無い生徒の将来の姿です。遅かれ早かれこういった学生バイトには安心して仕事を任せることが出来ず、上司からの信用も築けないでしょう。
さぁ、メモを購入。筆箱の中にinです。
(2)筆箱の中身を整理すること
メモを持たない生徒に限って、筆箱の中にはカラフルなマーカーの数々、ちぎられた無数の消しゴム、使用用途不明なレシート。紙屑と化した付箋。
必要なものが無く、その一方で不必要なゴミの山。中には切った爪を収集している子さえいます。。。(ご丁寧に小さなカンカンに収集している子もかつてはいました。爪コレクターです。誤解の内容に言っておきますが、現中1にはいませんので安心してください。。。)
蛍光ペン2色、赤ペン1本、ボールペン1本、ネームペン1本、付箋、ものさし、消しゴムがあれば十分です。
加えて、アライグマの形をした巨大ぬいぐるみ筆箱。
目立つには良いですが、自己主張を筆箱に任せず、成績で目立ちましょう。
(3)言われたらすぐに行動すること
先週の土曜日に月間スケジュールを配布しました。
月間スケジュールにはまず
1️⃣イベント
2️⃣試験範囲
3️⃣提出物の納期
上記3点を最低限入るように指導しています。
その際、2枚の用紙を配布ました。
「毎週土曜日に回収してチェックします。専用のクリアファイルを1冊準備し、学校・塾それぞれに持参し、そこにメモしましょう。」と伝えました。しかし、誰一人として専用のクリアファイルに入れている生徒はおらず、加えて週末で翌1週間のスケジュールまで立てるようにと指示しましたが、きちんと考えていと感じる生徒は2割程度(3名)でした。
言われたことをすぐに行動に移すことの重要性は。リスク管理と関係しています。
リスク管理が甘い生徒は現状の状態がずっと続くという前提で物事を考えます。
例えば、明日コロナにかかって1週間寝込んでしまうことや、急な頭痛や熱中症などが原因で、その日の予定が大幅に狂う事も想定しません。
「夜やるから、朝やらんくても良い!」という発言は今が良ければそれで良いという楽観主義的な考え方です。この場合、実際に夜になったらしようと考えている訳ではなく、今はやりたくない、あわよくば先延ばししたいという気持ちの表れです。やはり、夜になれば今度はその夜が現在になってしまうので「また明日にでもやるから」と先延ばしして行くのです。勉強ができる生徒は「今やれんかったらいつしよう」と12時間後の事でさえ不安を感じているものです。少し心配性くらいの方が勉強には向きます。
(4)塾に来る意味を知ること
授業前早々に到着し、ただただ話している生徒達がおります。塾に来る目的を勘違いしているように感じました。いや、その前に目的すら把握していないかもしれません。
そこで「塾の屋根の下にいる間は私語厳禁とする」と伝えました。授業の予習、復習をしてその日学習する内容が理解しやすくなるような時間の使い方をするよう伝えました。私語厳禁が目的ではなく「本来塾で自分がすべき目的に沿った行動をまず行う、それ以外は二の次、三の次」という意味です。
塾に来る目的は受験技術を習得し、1ランク、2ランク上の学校に合格していくだけの学力を付けることです。本来の目的がおしゃべりであればそれでも良いのですが、それはここですべきことではありません。やるならイオンのフードコートです。塾に来る目的が成績を伸ばすことであれば、第一優先としてそのための行動をとりましょう。
さて、目的をはっきりさせていないことが原因で起こる問題があります。これはあるあるです。
「その日の指導内容を理解していないのに、帰宅しようとする」ことです。
演習時間内に解くことの出来なかった問題が沢山あったにも関わらず「A子ちゃんが帰るので私も帰ります」発言です。本来の目的を完全に忘れてしまった典型例です。こういう事態を防ぐには、黙って塾に来て、黙って塾から帰るくらいがちょうど良いいと考えています。
また、テストは全員一発合格と言っていますが、中1にはまだまだ響いてないようです。今回の小テスト結果が物語っています。(涙が出るくらい悲しい状況です。。。)
今現在は不合格の場合、再テストの満点合格で帰宅としていますが、今後は一定量の演習をさせた上で帰宅させようと考えています。いや、次からこれに変えます。(再テストだとどうしても早く帰りたいあまり解答を暗記して乗り切ろうとするためです。単語などはそれでも良いのですが、単元内容の理解の場合にはこれでは困ります。)その分、帰宅時間も遅くりますが、本来の目的を達成した結果、それがきっかけとなり「勉強が分かるようになった」となる方が結果的に子供たちも幸せで居られるのではないかと思います。
(5)志望校を1つ決めること
(4)と関係しますが、塾に通う目的は1ランク上、2ランク上の学校に通うことです。だとすれば現状がどこで、どこを目指したいのかを決めなければなりません。高校について質問すると、多くは「分からない」と言います。それは考えてないだけです。すぐにでも調べて無理やり1つ決めてください。「まだ分からない」のではありません。その姿勢だと「これからもずーっと決められない」もしくは「今後の模試の結果で行けそうなところを志望校にする」というのがオチです。これだと、行けるところに行くだけなので、塾に来る意味がありませんしお金の無駄です。「お母さんの出身校だから」「高校に合格したらおじいちゃんが10万円くれると言ったから」「制服が可愛いから」どんな不純な動機でも構いません。まずは前に進んでいくための目印を置く必要があります。すぐに決めましょう。
(6)先の予定を見て現在の行動を考えること
(3)でも一部書きましたが、先のことを見て動くという訓練をしなければいつまで経ってもそれができる生徒にはなりません。試行錯誤の連続、交換日記のような修正指示の往復を経て、先の計画が少しずつ立てられるようになります。定期試験2週間前に国語、数学、英語のワークが終えられるようになるためには、意識の向上と技術の習得が不可欠です。成功は地道な努力の積み重ねの先にしかやって来ません。苦労の末にしずかちゃんを射止めるのび太くんが良い参考例です。「なんとかして」目標を達成しようとするあの諦めない根性を見習いましょう。
かなり長くなりましたね。授業も1コマ潰して話をするくらい重要なことです。中盤以降で描きました「目的をはっきりさせて塾に通う」というのはことのほか重要です。これがあるから自分にとって必要なことを学び取ろうという姿勢になるはずです。昨日は、「姿勢」についての話をしました。一つ一つを自分事と捉え、勉強が出来る塾生へと変わって行って下さい。そうするときっと、素晴らしい2年後が待っているでしょう。