ノートに図を書くことを数学では度々指導されますが、形式だけの図を書いても意味はありません。
握りこぶしより少し小さい図を書きます。大きすぎるのも問題ですが、ほとんどの子が書く図は小さすぎるように感じています。
問題文に与えられた情報を図に全て書き込み、問題を解く過程で新しく得られた情報が見つかればそれをさらに書き込んでいきます。
<関数分野で図を書く理由①>
しかし、図に書き込む情報が不正確なのが問題です。
例えば、直線を書いたとしても、それがどこの点を通っているのかが明確にされていません。また、傾きなども一切イメージせずに線だけがただ引かれているという状態です。
具体的には、傾きが2の直線と傾きが3の直線があった場合、傾き3の直線の方が急な角度で書かれていないといけません。こう考えて書きこむことでおおよその交点の位置が予測され、作られた三角形がどんな形なのか、その検討がついてきます。
目の前に置かれたシンプルな図に問題の条件を書き足すことで、情報が豊かな図となり、今まで見えなかったはずの情報が図の中に浮かび上がります。
図に正確に情報を足せば足すほどより具体的に見えることが増え、問題を正確に早く解くことが可能になってきます。これが先生が図を書くようにと促す理由です。
さらに、入試問題などを扱うと、図自体を条件に応じて改めて書き直す必要が出てきます。
問題には「二等辺三角形を作る」とあるが、「この条件に従えば、右に作る場合と左に作る場合があるな。だとしたら、それぞれのパターンに応じて図をかき分けないといけないな。」という具合にです。
普段の練習からこのような訓練、癖、習慣づけをしておくことで対応できることが増えてきます。
もう一つ別な観点があります。
<関数分野で図を書く理由➁>
少し先の話になりますが、入試問題ではある程度までみんなが手を出せる問題。これをA問題としましょう。そして、少し頑張れば手が届く問題。これをB問題とします。最後に、まるで歯が立たない問題。これがC問題。大きく3つに分けることができます。
今習っている一次関数は、入試の段階において比較的みんなが手を出しやすい問題です。そして、一部に頑張れば手が届く問題が含まれるという感じです。A 問題 と B 問題が主体となって出てきます。入試ではA 問題が完璧に解け、そしてどこまで B 問題に手が出せるかというところで勝敗が分かれます。つまり、この単元は入試では絶対に落とせない勝負単元ということです。
ここでの失点は大きな差となってしまいます。
一方、図形問題は頑張れば手が届く問題や、全く歯が立たない問題となることが多いのが特徴です。こちらは B 問題 と C 問題が中心となって出てきます。受験する学校によってはいわゆる「捨て問」になることもあります。
実際、こういう難度の高いところでの失点は大きな差がつかないので、解けた生徒はその分、加点となるイメージです。
これらのことからも。一次関数の単元での失点は致命的になることもあり練習が不可欠です。
まとめると、一次関数などの関数単元では図を書くことから始めて、図を見ながら、解くために必要な情報を足しながら解いていくということを忘れないようにしましょう。
今の取り組みが将来の糧になります。基本をブラさず、がんばって下さい。