【絶望の25,000部】夫婦で塾のチラシを配って気づいたことと、忘れられない出会い|Goda塾

昨日から、塾の近くのエリアでチラシ配りを始めました。これまでは配布業者さんにお願いしていましたが、教室を移転したこともあり、「今通う子たちはどんなところから来てくれているのか」を自分の目で知りたくなりました。今回は妻と二人で、一軒一軒歩いて配ることにしました。地域のことを生々しい手応えとして感じるためです。

旧校舎の際に印刷していた部数は約16,000部。現校舎が対象エリアが広がっているので少し多めの25,000部印刷しました。塾に届いたチラシは6箱。ホテルマンも驚くほど腰を曲げてチラシを教室の奥に運びました。紙ってこんなに重かったんか。

翌朝から配布開始。5時間歩いて分かった現実。1時間で約120部程度の配布量。25,000部 ÷ 120部 = 約208時間。妻と二人なので、一人104時間。毎朝3時間配っても34日かかる。

…夏期講習の募集チラシの配布終了がもう秋です。チラシの廃棄が頭をよぎります。

自宅に戻り、妻と会話する中で「そうよな、そうよな。」と共感する言葉がいくつも見つかりました。

玄関先に干された運動靴を探していました。子ども用の自転車があるかないかを見ていました。傘立てに並ぶ少し小さな傘や黄色い傘を探していました。小学校で頂く、青いプラスチック製の鉢植えを探しました。ボールやシャトルやくねくねが玄関先にあるのか探しました。
そんな家を見るたびに、「この子は何年生だろうか。」「この子は勉強で困っていないだろうか。」そんなことを考えながら投函していました。

だから、極めて配布効率が悪いのです。

妻はポストに入れるたびに「良い出会いがありますように」と頭を下げて配ったと言います。ただのチラシ配りですが、そこに想いを乗せて配布していたことは間違いありません。
そのご家庭の物語の一部になることを想像しながら配布していました。

ここで、チラシに関して忘れられない出会いを2つだけご紹介したいと思います。

ある保護者様は、お子様がまだ小さい頃、ポストに入っていたうちのチラシを見て、「この子が大きくなったら、この塾に通わせたい。」そう思ってくださっていました。ところが、その頃の私は塾を閉めるつもりでした。募集学年を毎年一つずつ引き上げていたため、「やっと入れる。」そう思ったら、また募集学年が上がる。また一年経ったら、さらに遠ざかる。「もうこの塾とは縁がない。」そう思われていたそうです。ある日、息子が新しく習い事を始めるので妻が習い事先に連れていきました。「はじめまして、ごうだです」と伝えると、「もしかしてGoda塾のごうださんですか?」「はい、そうです。」どうやら、切れかけた一本の糸を神様がつないでくださったようです。「実は移転を考えており、移転先では再募集をかけるそうです。良かったらそちらにお越し下さい。」その後、入塾してくださいました。しかも面談の日、保護者様が見せてくださったのは、数年前のLINEの問い合わせ画面でした。そこには、私とのやり取りがそのまま残っていました。ダメ元で問い合わせてくださったLINEでした。何年もの間、ずっとブログを読んで下さっていました。

もう一つの出会いです。

以前、Goda塾は平城中学校限定の塾でした。チラシも対象エリアにしか配っていませんでした。ところが配布ミスで、対象外の地域にもチラシが届いたことがありました。すると一本の問い合わせがありました。「どうしても入塾したいのですが…。」私はお断りしました。平城中学校に合わせて授業もスケジュールもすべて作られています。他中学では十分な価値を提供できないと思ったからです。でも保護者様は、「それでも構いません。」「チラシを見て、この塾で勉強してほしいと思いました。」そう何度も伝えてくださいました。信頼のおける他塾もお勧めしましたが、数日後またお電話を下さいました。「お願いします。」根負けした私は「満足していただけないところも多いと思いますが、それでもよろしければ…」とお引き受けすることとなりました。

チラシはただの紙です。ポストに入れた瞬間、その後どうなったのかは私には分かりません。読まれずに捨てられるものもたくさんあるでしょう。でも、その一枚が誰かの目に留まり、何年も心のどこかに残り続けることがある。会ったこともない誰かが、この塾のことを信じ、応援し続けてくださっている。

私が感謝するのは、入塾でも、問い合わせに対してでもありません。会ったこともない人が時間をかけ、塾の価値を判断し続けて下さったこと。LINEの文面には問い合わせ内容しかありません。しかし、数年間消さずに残されていた「期待」がそこに保存されていたことに、共感の強さが垣間見えるからです。そう思うと、チラシを通して生まれたつながりに感謝の言葉しか見つかりません。

「先生、チラシの裏、文字が多いですね。」とよく言われます。私はそれを褒め言葉と取るようにしています。確かに、今の時代は短く、分かりやすく、目立つ言葉の方が読まれやすいのかもしれません。「講習費無料」「入塾金0円」「期間限定キャンペーン」そういった言葉で興味を持っていただく方法もあります。もちろん、それを否定するつもりはありません。ただ、うちの塾が届けたいものは、そこではありません。

子どもをどう教育したいのか。なぜこの勉強法なのか。どんな子に育ってほしいのか。保護者の方と、どんな関係を築いていきたいのか。そうした教育への考え方まで含めて知っていただきたいと思っています。その想いを伝えようとすると、どうしても言葉数が増えてしまいます。正直に言えば、それでもまだ伝え切れていないと思っています。

万人に届く文章ではありませんが、一人でも多く「共感できる」と感じてくださる方に届けば、それだけで幸せです。私が探しているのは、子どもの成長を一緒に喜び、一緒に悩み、一緒に歩いてくださる同盟者です。最後まで一緒に歩けるのは理念に共感した人でないと難しいことを知っているからです。