懇談会を前に伝えたいこと

テスト勉強にも真面目に取り組み、ノートも几帳面。小テストでは一応合格点も取れている。そんな子が、最近になって凡ミスを繰り返すようになったら、保護者の方も少し気になるかもしれません。

実際、ある小学生の生徒がそうでした。本人に確認しても「そうなのかな?」と曖昧な返事。それでも答案返却時には目元を赤らめている様子から、自分でも悔しさを感じていることは伝わってきます。ただ、その「原因」まではまだ気づいていないようです。

私がこういう時に考えるのは、表面的な点数やミスの多さよりも、その子の「奥にある変化」に目を向けるようにしています。

成長というのは、一直線に進むものではありません。今までできていたことが、ある日ふとできなくなることもあります。良かれと思って変化させた習慣が自分の中で消化しきれず、かえってバランスを崩すこともあります。しかしこれは決して後退ではなく、「前向きな挑戦」である場合が多いのです。

ノートの作り方、課題の提出時刻、テスト前の準備の様子。一見問題ないようでも、その裏にある「わずかなズレ」が、少しずつ学習のリズム、そして心の不安定さに影響を与える場合があります。

体の成長と比例して、心もまた静かに変化していきます。その変化は本人にも分かりにくいほど微細で、けれど確実に影響を及ぼす。だからこそ、日々の変化を「よく見ていること」が大切です。

あくまでも仮説ですが、GW以降からの観察を通して1つだけ思い当たることがひとつあります。次回の三者懇談では、答え合わせのつもりでこの子のお母さまにも確認してみるつもりです。

子どもたちが壁にぶつかったとき、大人の一言がその壁を乗り越えるきっかけになることがあります。だからこそ、ふとした表情の変化や行動の揺らぎを見逃さず、言葉をかけるタイミングを大切にしたいと思っています。うまく届けば、少しでも良い方向に背中を押せるかもしれません。

毎学期末に三者懇談を設けているのは、これまでの頑張りを認め、また課題や停滞がある場合にはその原因を一緒に考え、ご家庭と塾とで次の一歩を支える場にしたいという思いからです。

時に背中を押し、時に立ち止まって考え、そんな二人三脚の関わりを続けていければと願っています。まもなく懇談会を迎えますので、改めてこの場の意味や目的についてお伝えさせていただきました。