中3の授業を終え、ふと塾の外に目をやると、門の外からこちらをじっと見つめる女の子の姿がありました。
「ん? なんであんなところに……」
よく見ると、昨年の卒業生・S子でした。
私:「どうしたん! 久しぶりやな。ちょうど今も、受験校が決まった子が挨拶に来てくれたところやねん。立ち話もなんやから、中に入り。」
招き入れると、彼女は少し照れくさそうにこう言いました。
S子:「バレンタイン、届けに来ました」
私:「俺に? わざわざありがとう」
聞けば、ふと塾が懐かしくなったのだとか。
S子:「去年の今頃はそれどころじゃなくて、入試に向けて目の色変えて勉強してたなぁ……って思い出して。あ、先生聞いてください! 私、コースを1つ上に上げることにしたんです」
私:「えっ、じゃあ勉強も順調ってこと?」
S子:「はい! 今のコースでは上から5番目くらいにいます。高校に入ってから気づいたんですけど、中学生の時に必死に勉強してた時期って、今振り返ると実は楽しかったんだなって。だから、もう一度あの時みたいに頑張ってみたいと思ったんです。」
私:「他に上がる子はいるの?」
S子:「いえ、私だけです」
授業が終わる時間を見計らって訪問してくれたり、私が駐車場で保護者の方と話し終えるのを遠くで静かに待っていたり。そんな細やかな気配りや立ち居振る舞いに、この1年間の大きな成長を感じずにはいられませんでした。
しかし、話が盛り上がってきたところで、彼女がポツリ。
S子:「最近、授業中に携帯を見てる子がいるんです。私、それを見てるとイライラしちゃって! 『勉強してるんやから邪魔せんといて!』って思うんです」
私: 「どの口が言ってるねん!!」「夏の自習中に、こっそり携帯でマンガを読んでいたのは誰やねん! すぐに、お家の人に来てもらって、退塾寸前まで話をしたのは……どこの誰やったかなぁ?」
S子:「そうでしたね(笑)」
そんな昔話をしながら、笑っていました。今ではもう「時効」ですが。笑
かつてはスマホが手放せず、厳しく叱られていた子が、今では「勉強の邪魔」だと憤るまでにたくましくなっているようです。あの時のようにまた頑張ってくれることを期待しています。



