いよいよ定期試験が近づいてきました。このタイミングで、改めて私が考える「定期試験無対策」についてご説明させていただきます。
Goda塾では、試験の1週間前から「定期試験対策期間」と位置づけ、通常の授業や小テストはすべてストップします。この期間、必ず参加してもらうのは、もともと通常授業が予定されていた時間のみ。それ以外の時間帯は教室を自習室として開放します。参加は自由ですが、基準は「今の自分が塾に来て勉強する必要があるかどうか」。(原則として、5科目合計で430点に届かない生徒はこちらから声をかける形で参加を促します。)
この期間、私が行うのは「対策」ではありません。テーマは一貫して、「勉強の仕方」、特に「教科書の読み方」への指導です。
教科書には、学力の土台となる「1次情報」が詰まっています。ところが多くの子どもたちは、その1次情報にきちんと触れることなく、塾や学校で与えられる「まとめプリント」や「教師の解説=2次情報」に頼りきって学習を進めてしまいがちです。
もちろん、整理された情報を効率よく学ぶことは重要です。しかし、自分で情報を拾い、整理し、意味を問い、関連づけながら理解を深めていくという勉強の仕方はどこかで指導されなければなりません。内容ではなくその方法の指導です。
たとえば、昨日中学2年生は世界地理(アジア州)を扱いました。教科書15ページを読み進めるのに2時間半を要しました。1ページあたり10分程です。かなり時間がをかけて読み解いているのが分かって頂けると思います。必要な背景知識や統計資料の見方などを理解している先生がこれを説明しているので、自分ひとりで読み解くにはさらに倍近くの時間がかかることでしょう。
教科書を「読む」には、想像以上の時間がかかります。
また、今回の中学3年生の歴史の試験範囲はおよそ60ページ。1ページ20分かかると仮定すれば、合計で20時間以上が必要です。これを5教科で行うとすると、試験直前の1週間で間に合わせるのは到底不可能です。
1週間で間に合ったとしたら、それはよほどの天才か、あるいは‥‥のどちらかでしょう。こういった経験を通して、日ごろの取り組みに修正を加えていくのです。
このような指導方針のため、「すぐに点数が上がる」ような魔法のプリントや過去問の配布は行っていません。もちろん、そういったものを望まれているご家庭があることは理解しています。過去には、「過去問をもらえないので」という理由で退塾された方もいらっしゃいましたので。
確かに、学校の先生によっては過去問とほぼ同じ問題を出されるケースもあり、それに合わせた対策をすれば点数は取りやすくなるのも事実です。(今では随分その数は減りましたので過去問の価値も昔とは少し変化していますが)
この点に関しては学校の先生も苦労されているように思います。受け持った生徒の学力を把握するための定点観測がしにくくなるわけですから、指導上の改善箇所が見つけづらくなるはずです。
教科書を起点に情報を整理し、背景を調べ、意味が腑に落ちる。その繰り返しが、どの分野にも応用できる礎になるのではないでしょうか。
こう考えているため、実は英単語テストも、まとめプリントも配りません。漢字テストも行いません。それは「冷たい対応」かもしれません。しかし、教科書の脇に書かれた英単語をノートに書き、その右隣に意味を書き、ノートで片側を隠し、何往復も繰り返し覚えれば良いのです。英単語テストがあるからやるのではなく、必要だからやるのです。自分で出来ることは人の手を借りず、自分でやってもらいたいのです。厳しい言い方をすれば「これをしないと失敗することを経験すれば良い」のです。定期試験は年間5回で中3の進路決定までには14回。7回目くらいまでを目途に自力で勉強できるようになれば、遅いなどということはありません。この積み重ねが「自学力」を育てるためのステップです。
誤解なきようお伝えしたいのは、2次情報の価値を否定しているわけではないということです。むしろ、通常授業では、厳選した2次情報を効率よく伝え、生徒の理解を深めることに心血を注いでいます。
一方で、定期試験前のこの1週間は、生徒自身が1次情報を自力で読み解く力を養うための貴重な機会にしています。この1週間を起点にこれが普段の勉強の仕方に感染して行けば良いと思っています。
最後に。
これまでの内容を読んで頂ければ分かる通り。定期試験対策期間では「何の対策」も行っていません。試験直前期は「定期試験無対策期間」です。
中3の夏以降、自学時間を増やす段階に入る頃には、教科書という「1次情報」としっかり向き合える力が、学びの質を決定付けます。受験直前期の伸びはこういった過去の遺物の賜物です。
定期試験期間は、単なる得点アップのための短距離走ではなく、マラソン大会のような指導になっています。







