それって我が子のためですか?

うちの塾には、賢い子を「取ってくる」という発想が無い。

あるとしたら「伸ばす」ことだけや。

だから、仮に勉強が不得意な子が来ても、なんとかしたろ。もし自分の腕で何とかできるなら、出来るところまで伸ばしてあげたいって思うから、入塾テストをして来なかってんな。

だけど、ある日「親子で来て下さい」って言ってるのに、両親だけで面接に来たお家があってな。子どもは体調不良。

その際にな。

定期試験の答案を見て、どこに課題があるかも一緒に見させてもらうので、答案も持って来て下さいって言ったのに、その持参も無かったわ。

面接の中でな、五教科の点数聞いたら250点くらいって仰っててな。信じるよな。

初回の授業してて、何か違和感あるんよな。ノート取るのも遅れるし、当てても答えるまでの時間長いし、下向いてうにゃうにゃしてるし。

そこで次の授業の時に、答案用紙持って来てくれへん?ってお願いしてん。

見事に空白ばっかりや。良くて30点。殆どが10点代。

ショックやったなぁ。点数にとちゃうで。

言ってたこと、全然違うやん。前提が変われば提案も何かもピンとのずれた話になるな。この時点で不信感しかなかったわ。

何とかしたいと思ってこっちは受け入れたのに、嘘つく必要ある? 通常は一週間くらい体験期間とって、こっちも本当にその子がついて来れそうか判断するんよ。相手も塾の事チェックしてもらうので、「お見合い」みたいなもんや。

だけどな、この時は試験と試験の間でな。すぐにでも入塾したいってことやから、その場で入塾手続きが始まってん。

きちんと伝えてくれたら、計画的に段取り組んでクラスに合流させるやん。さすがに200点もないのに集団授業の指示についてくるのは無理や。小テストの合格基準もそうやし、1時間でここまで解きなさいって指示もそうや。

まずは個別で見て、出来るようになったら集団に合流させたり、課題調整したり、巻き戻して補習組んだり、やり方はいくらでもあるねん。

やっぱり、「ついていけません。」って言って辞めていったな。

最初の出会いが出会いやったから、今後も同じ事が繰り返されるん違うかって思ったら、突っ込んだ話が出来んかったな。お互いがお互いの事信じるって大事やな。信頼関係があれば多少の困難は乗り越えていけるもんな。だけどそれがないとやっぱり一丸となって頑張るのは難しいわ。

集団におるのに「君だけごまめな」なんて扱い出来んやろ。周りの目があるやん。周りの目って言うのは、「あの子だけ課題少なくてズルい…」って事じゃなくてな。「あの子は出来へん子なんや」って心の中でレッテルを貼って見下してしまうやろ。

この出来事がきっかけで、入塾テストやりますって言った時期があってんけどな。本当にこれで良いんやろか?って思って迷走した時期があったな。今は、面接はするけどテストはしないって元の形に戻したけどな。

出会い方が違って、お互いに信頼関係築けてたら今頃どうなってたんかな。やっぱり厳しいって言って辞めてたのか、それとも、夢追いかけて頑張れてたのか。今となってはもう分からんけどな。寂しいな。生徒はただの数字の1じゃないからな。数字の1に色んな色んな想いが詰まった1やからな。そんな1のおかげで今があるからな。

これから入塾を考えられる方は、親子面接だと思ってお越し下さい。そして状況はありのままにお話しください。良い事も悪いことも。出来るだけの知恵を振り絞って、夢を叶えるための最善の提案を考えますので。

よほどの事(やる気なし、親に話させる、質問に答えない)が無い限り面接で落とすことはありません。お互いにとって良い時間が過ごすためにもご理解頂ければありがたいことです。